転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ~婚約式はロマンスの始まりですか!?~
 ただ単に、一心に愛を注ぐことで、皇帝の力となった妃もいたかもしれない。
 この国を治める人物に嫁ぐということは、つまりはそういうことなのだ。持てる力のすべてを、相手に捧げなくてはならない。
 そして、ヴィオラはその覚悟を決めた。

「私は、そんな柱になりたいと思います。柱が一本しかないというのであれば、ものすごく太い柱になりたいと思います」

 今はまだ、なにができるかわからないけれど、ヴィオラにだって役に立てることがきっとあるはずだ。

「……あなたの覚悟には驚かされるわね」

 皇妃が手を伸ばし、ヴィオラをしっかりと抱きしめる。

「愛しているわ、ヴィオラ。あなたの上に、女神の祝福がたくさんありますように。さあ行きましょう。これから婚約式だもの」
「はい、皇妃様」

 ヴィオラはそっと皇妃の手を取る。そして、リヒャルトが待っているリゾルデの神殿へと向かうのだった。
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