たとえ君が・・・
番外編~過保護な渉~
「瀬戸さんが歓送迎会に顔出すのって初めてじゃない?」
そんな噂話を聞こえないふりして多香子は珍しくお酒を飲んでいた。

いつもはあまりお酒を飲まない多香子。それでも何かあると飲みたくなる。

ちょうど3月も終わりになり、渉の院長を務める病院は退職する職員と新しく入る職員とが入れ替わりの時期だった。

病院では年末の忘年会と3月の終わりの歓送迎会、8月の納涼会の3回が恒例行事だった。でもだいたいは渉も多香子も参加はしない。病院の勤務を率先して引き受けこういった場には顔を出さないことがほとんどだった。

それが今回は多香子も、普段参加しない渉までもが参加していることに職員は驚いていた。

大きな居酒屋を貸し切っての歓送迎会。職員も8割が参加している。

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