涙 のち 溺愛


体をどうにか起こした私は、嗚咽を漏らして私が横たわるベッドに突っ伏して泣く青山の背中を、ゆっくりと撫でた。


何も言わず、撫で続けた。
そうすることで、私自身が救われる気がした。
きっと青山とともに、自分の背中も撫でていたのだ。

そのうち、ゆっくりと青山が顔を上げた。
涙は、もう止まっていた。

「──ありがとな」

少し鼻をすすって、青山が言った。
私は軽く首を振った。

「私は吐いてるときに少し泣けたから。
──青山が少し楽になったんなら、私も楽になれるよ」

同じ痛みを持つもの同士ね。
これは、言葉にせず微笑みに乗せた。

「─すぐに切り替えは出来ない…と、思う。
お前もそうだろ。

苦しくなったら、お互いに助け合おうぜ。
俺、いつでも駆けつけるから。

出来たら…お前も、俺の話し相手になって欲しい」

同じ痛みを持つもの同士。

言外のこの言葉を、私は確かに受け取った。

そして、ゆっくりと頷いた。


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