涙 のち 溺愛


「──嘘、つくな。違うだろ」


怒ったような表情で、青山は言う。

ああ。
ダメなんだ。

誤魔化されないし、逃がさないと、青山の眸が告げている。

慌てた私は、自ら地雷を踏みに行ってしまう。
これは、自爆だと、わかってるのに。

「──それに、青山が蓮美さんに好き好き言ってるの、散々見てきたんだよ?
あの表情や態度は忘れられない!

正直、どんだけ好きなんだよって、うざったいくらいだった!!」

一瞬、青山はフリーズした。


「いや、そうは言っても、4年前だぞ?
流石にもう時効だろ?!

岸川さんに未練とか、全くないから!」

「いや、未練があったら引くよ?!
あんなこともあったのに!!

それにあの後、確か青山彼女がいたでしょ?」

二人同時に好きとか、できる奴なの?
私は逆にビックリした。

後の彼女とも、彼は仲良くやっていたと思うから。

同期であり直属の部下である関係上、全くプライベートを知らないではいられない。
お局様には、噂は色んな所から入ってくるのだ。



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