思いを乗せたカクテルをあなたに



カミラが洋子に連れてこられたのは、洋子が経営する店だった。中に入ると、洋子と目が合い、洋子は「カミラさんに百合さん。いらっしゃいませ」と微笑んだ。

「こんばんは。今日も来ました!」

「洋子さん、昨日ぶりです」

百合とカミラは洋子に挨拶をすると、2人席に座った。

「すみません!カリフォルニア・レモネード2つ!」

百合は、手を挙げて洋子に向かって言う。洋子は「かしこまりました」と微笑んだ。

「……福宮さんも、この店に来たことがあるんですね」

百合の言葉に、カミラは「はい」とうなずく。

「いい店だよね。洋子さんは良い人だし、カクテルは美味しいし……」

そんな会話をしながら、カミラと百合は注文したカクテルが届くのを待った。

「お待たせ致しました。カリフォルニア・レモネードお2つです」

洋子は、淡い赤色のカクテルをカミラと百合の前に置くと「ごゆっくりどうぞ」と微笑んで、「すみません」と手を挙げた人の元へと向かう。

「……福宮さん。カクテル言葉というものをご存知ですか?」

「はい。知っています……全然詳しくはありませんが……このカクテルの名前すら知りません」

カミラは、カクテルを口にしながら百合の問いかけに答えた。
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