愛は、つらぬく主義につき。 ~2
前科。そう言えば初対面の新年会で、高津さんも織江さんと面識があるのを匂わせてた。
彼女をどうにかして、相澤さんを追い詰めようとした?
今度はあたしを利用して、そうするってこと?

綺麗に笑うのに。温度のないあの眸が頭の隅をよぎる。

「志信の手前、派手なマネやらかすとは思ってねーけど」

相変わらず感情のこもってないトーンで。
1階に到着した機械音に紛れ、「油断すんな」って聞こえた。





少し寒そうにジャンパーのポケットに両手を突っ込み、スライドドアがゆっくり閉まるまで見届けてくれた藤さんに会釈し、榊は軽くクラクションの挨拶でセレナを発進させた。

窓枠に肘を乗せ、頬杖をつく格好で真はずっと黙ったまま外を眺めてる。あたしの視線にだって気付いてるはずなのに、こっちに向く素振りすらない。

きっと、相澤さんや藤さんが言ったことを真剣に考えてるんだろうって思うのに。なんでかな。あんたの隣りにいるのが居心地わるくて、息苦しいの。

一人で置いてかれてるみたいで心細いよ。
ねぇ真。

・・・なに考えてんの?



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