愛は、つらぬく主義につき。 ~2
ウェディングプランナーさんとのよもやま話なんかも挟みつつ、あっという間に2時間ちょっと、楽しく喋って飲んで。22時を回った頃合いで「帰るよ」のダンナの一言。

「じゃあユキちゃん~、結婚式でねぇ~」

「今から眠れないくらい楽しみにしてるわ」

「大親友の紗江を紹介するから~」

スツールから下り立ち、ほろ酔い加減でふにゃりとしてると、あたしの手からショルダーバッグが取り上げられる。

真はそれを自分の左肩にかけ、松葉杖を右脇に抱えて「明後日はよろしくユキ姉」っていつもと変わんないテンション。

「チヨちゃん」

ユキちゃんがこっちを向き、あたしに淡く微笑んだ。

「マコトちゃんを諦めないでよかったわね」

「うん。ホントにほんとに、ユキちゃんとみんなのおかげー」

「本当の意味でふたりの人生の始まりね」


本当の意味で。
ふわっとしてる頭の中で、そのフレーズがしゃぼん玉みたいにゆらゆら漂ってた。

臼井家の跡目のしてのはじまり。
真の奥さんとしてのはじまり。
極道の妻としてのはじまり。

真が『臼井宮子』の夫になった意味。
真が仁兄と、一ツ橋組を背負う意味。


全てはここからだよ。宮子お嬢。


ユキちゃんの声が聞こえた気がした。


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