愛は、つらぬく主義につき。 ~2
式場から戻り、息を吐く(ひま)もなく本家での披露宴が始まった。

二の組、三の組の組下まで合わせると招待客は総勢100人は下らない。ゲストハウスを総代の古希祝いと似たような立食形式の会場に設え、厳重なボディチェックと、各組から10名ほど警備を応援させてるとは言え油断はできない。客以外は腕章の色で見分け、緑が二の組、黄色が三の組、本家(うち)が赤だった。

本家主導で正門付近に二の組、裏門付近に三の組、敷地内は班別けした本家の組員を配置して、班長クラスは無線で常に状況を報告しあう。

『榊、お前はもういいから宮子お嬢のところに戻れ』

葛西さんの指示に了解し、俺はゲストハウスに足を向けた。





絨毯敷きの広間に入っていくと、黒い人だかりがあちこちに出来あがり、派手な金屏風の前にあいつらが座ってる。真はスーツ、あいつも蝶だか鳥だかの目立つ着物に着替えていた。始まる前は、帯が窮屈だとやけに苦しがってたが、見てる限り気分が悪そうでもない。・・・我慢してようが俺にはすぐ分かることだ。

脇に控え、入れ替わり立ち替わり真たちの前に祝いの挨拶でやってくる面々の、挙動を注視しながら宴は進んでいった。
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