溺愛なんてされるものじゃありません
主任×私×熱
金曜日 ーー

裕香達はまだ仕事が残っているということで、私は1人で社員食堂に行き、天ぷらうどんを食べていた。

「赤崎さん見っけ。隣座っていい?」

聞き覚えのある男性に私は隣を見ると、高成さんがニッコリとこっちを見ている。

「あっ高成さん、どうぞ。」

私も笑顔を返して返事をすると、高成さんは私の隣に座った。

「良かった、名前覚えててくれて。」

「あはは、忘れませんよ。高成さんお昼食べないんですか?」

何も持たないまま私の隣に座る高成さんに気になって聞いた。

「もう食べ終わったんだ。食堂を出ようとしたら赤崎さんを見つけたからここに来ました。」

そうなんだ、と思いながらうどんの上に乗っているエビ天をパクッと口に入れる。

「赤崎さんさ、今日の夜予定ある?」

「予定ですか?…特にないですけど。」

一瞬主任の顔が頭に浮かんでしまったけど、慌てて雑念を振り払った。

「じゃあ飲み行かない?」

「はい。他の子達にも声かけておきますね。」

「違う違う。2人でって事なんだけど。」

「えっ?」

2人でって私と高成さんの2人でって事?私、誘われてる?

「えっと…はい。」

「仕事が終わったら会社の前で待ち合わせね。じゃあまた後で。」

そう言うと高成さんは立ち上がり、手を振って立ち去った。私は思わず『はい』と言ってしまったけど…どうしよう。

「聞いちゃった。美織にもついに彼氏が出来ちゃうのかぁ。」

後ろを振り向くと裕香達がいた。ニヤニヤ私を見ながら席に着く。

「ちょっと、彼氏とかそんなんじゃないから。」

「でも良い雰囲気だったよ。」

隣に座った裕香がニッコリと言ってきた。

「金曜日の夜に誘われるなんて…絶対朝までコースじゃない?」

「へ、変なこと言わないでよ。」

他の子達も私をからかってくる。もう言いたい放題なんだから。そんな事言われたら変に意識しちゃうじゃない。

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