ボクソラ☆クロニクル
慌てて顔を上げる。声を掛けてきたのは、ルドルフさんだった。
「洗濯物干すのって、ここじゃありませんでしたっけ?」
「それは合ってるけど! そういうことじゃなくて、なんでアンタが洗濯物干してんのって話をしてんの!」
「えっとそれは、レオンさんに言われまして……」
「はぁぁ!?」
信じられないと声を上げるルドルフさん。
「ちょっとレオン! レーオーンッ!」
「まあ、どうしたの? 騒がしいわねぇ」
ルドルフさんの声を聞き付けて、サミュエルさんも物干し場までやって来たのだが。
「キャーッ!? ちょ、ちょっとニーナちゃん何をしてるのよ!」
ルドルフさんだけではなく、サミュエルさんもこちらを見て血相を変えた。
やはり普段身につけるものを見ず知らずの女に触れられるのは嫌なのだろうか。でもレオンさんに頼まれたことだし……あれ? もしかして洗うところまでで干すのは私がやっちゃダメだったのかな?
ルドルフさんとサミュエルさんに挟まれて1人悶々としていると、サミュエルさんがワッと声を上げた。
「年若い女の子が、野郎共の下着なんて洗っちゃダメよ!!」
………………あ。え、そこ?
あっけに取られているとルドルフさんがサミュエルさんに「レオンがやらせたんだって! 信じられないでしょ!」と抗議をする。
「はぁ!? 何考えてんのよあのトマト頭! 鍋で煮込んでやろうかしら!」
「誰がトマト頭だよ、このヤブ医者」
「ヤブじゃないわよ!!」
騒ぎを聞き付けたのか、どこからともなくレオンさんが物干し場までやって来た。