かりそめ夫婦のはずが、溺甘な新婚生活が始まりました
「小毬……」

 名前を呼ばれるたびに身体は反応し、もっとしてほしいと望んでしまう。

 将生のことが好きかもしれないと感じながら、確信を得られないのは、誰かを好きになるとどうなるのか、由良や敬子を見て知っているからかもしれない。

 将生といると心地よく感じる。でも由良から聞いていたような幸福感を、残念ながらまだ実感することができていないし、敬子のように将生が他の女性と一緒にいるところを見ただけで、モヤモヤすることも嫉妬することもない。

 それはやはり、将生のことを好きではないからでは……?と思ってしまう。――なんて考える余裕があったのはここまでだった。

 熱い舌に絡めとられ、お互いの吐息が漏れるほど激しいキスをされ、思考は遮断された。

 息も途切れ途切れになるほど、何度も何度もくちづけを交わした。
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