ずっとキミしか見えてない
chapter*3

それってどういう意味?

 定期テスト後の、一番最初の生物の授業の時間だった。

 私は返却された答案を席で眺めながら、落胆していた。

 右上に容赦なく書かれているのは、39という大きな赤い文字。

 うちの学校では、定期テストで40点未満を取ると赤点となり、追試や補習の対象となる。

 あと一点で、赤点を免れられたのに。

 テストの内容を解説する先生の話を必死に聞いて、どこかに採点ミスや加点の対象がないかどうかを目を皿のようにして探したけれど、その結果は自分が紛れもなく39点だったことを思い知らさらされるだけだった。

 テストの後、一番手ごたえがなかったと感じた生物。

 苦手な数学に時間を取られ過ぎて、試験勉強をする暇がなくなってしまったんだ。

 授業はしっかり聞いていたからなんとかなると思っていたのに。

 今回のテスト範囲は暗記ばっかりだったから、勉強時間の少なさが如実に反映された形になってしまった。

 ちらり、と隣の席の光雅くんの方を見る。

 彼は熱心に教科書を読んでいた。
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