極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています
 きっと仕事、大変だよね。今日も仕事なのに、私のワガママで泊まらせてしまい申し訳ない気持ちになる。

 村瀬さん、一度家に戻るのかな? ……戻るよね、着替えないといけないだろうし。

 前に車でニ十分ほどのところに住んでいるって言っていたから、まだ起こさなくて大丈夫だろう。ギリギリまで寝かせてあげたい。

 起こさないようにそっとベッドから降りて、寝室を後にした。真っ直ぐ向かった先はキッチン。

「卵はこの前、多めに買っておいた気がするんだけど……」

 冷蔵庫のドアを開けて確認する。

 前に私が作った厚焼き玉子を褒めてくれて、また食べたいと言っていた。だから作ってあげたいんだけれど……。

「あ、よかった。卵ある」

 パックごと取り出してホッと胸を撫で下ろす。

「あとは味噌汁を作って、漬けておいたキュウリを切って……」

 ひとりごちながら、素早く調理に取りかかる。

 村瀬さんに、ちゃんとした手料理を振る舞うのは初めて。彼の口に合うといいな。

 味噌汁の具の野菜を刻んで鍋に入れて煮込んでいる間に、卵を割って溶いていく。

 そうだ、作り置きの煮物も出そう。おかずはそれで十分だよね。

 アレコレ考えながら、誰かのために作る料理はやっぱり楽しい。その相手が村瀬さんだと余計に。
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