極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています
「おはようございます。本日より夏季限定メニューが始まります。麺物なので、少量ずつ提供し、こまめに補充していきたいと思っております。いつも以上に忙しくなるかと思いますが、よろしくお願いします」

 出勤してきた調理員とともにミーティングを行ない、さっそく調理に取りかかる。

 暑いこの時期、少しでも涼を感じてもらえたら……という思いで、昨年から夏季限定メニューの提供を始めた。

 週替わりで様々な麺料理が食べられる。今週はそば。来週はうどん。以降、冷やし中華にそうめんを予定している。

 昨年は大好評で、用意していた分が完売するほどだった。今年も天気予報で真夏日になると聞いているから、多めに発注をかけている。

 そばが多く出ると他のメニューに手は伸びづらくなるだろうから、作る量を調整しないと廃棄が多くなってしまう。

 材料は最小限に抑えたけれど、開店後の減り具合でうまく調整しないと。

 そんなことを頭の中で考えながらまずは手を洗おうとした時、弥生さんが近づいてきた。

「ねぇ、さくらちゃん。ちょっといい?」

「はい、なんでしょうか?」

 仕事の話だと思って尋ねると、弥生さんは急にニヤニヤし出した。

「みんなが気になっていることだから、私が代表して聞かせてもらうんだけど……」
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