極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています
 彼女と出会ったのは半年以上前。珍しく仕事が早く終わり、ふらっと立ち寄った商店街の一角で見つけた弁当屋。

 夕食を買って帰ろうと立ち寄ったところ、店先に立っていたのがさくらちゃんだった。

 店頭に目を向けると、どれもうまそうな弁当ばかり。

 先客は常連なのか、気さくな態度で接客していたのが印象的で、俺が初めて訪れたと知ると、おすすめを事細かに教えてくれたんだ。

 日替わり弁当と厚焼き玉子を購入して帰宅後、さっそく食べるとすっかり虜になった俺は、それから足繫く通うように。

 そうなると自然とさくらちゃんと話す機会も増え、彼女の明るさや優しい雰囲気。可愛い笑顔に次第に惹かれていった。

 それなりに恋愛はしてきたつもりだ。だけど彼女に抱く気持ちは初めてのことばかりで、戸惑ってもいる。

 知らないことのほうが多い。さくらちゃんのことで知っていることといえば、名前と弁当屋のひとり娘ということだけ。

 趣味や特技、恋人の有無など本当に知らないことばかりだ。それなのに強烈に惹かれたんだ。

 彼女に会いたい一心で仕事を終わらせ、少しの時間でも会えたら嬉しくて、幸せな気持ちになる。こんなこと、初めてだった。
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