極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています
 彼との待ち合わせ場所は駅前のロータリー。村瀬さんがそこまで車で来てくれることになっている。

「おう、おはようさくらちゃん! なんだなんだ、めかしこんで」

「デートだろ? いいねぇ、若いって」

「もしかして大とかい? 楽しんでおいで」

 次々と声をかけられ、曖昧な笑みを浮かべて乗り切る。

 ここで変に否定して、デートの相手は大じゃないなんて言ったら、取り囲まれて質問責めに遭いそうだ。

 足早に商店街を抜け、アーケードを潜ると駅前のロータリーが見えてくる。時間を確認すると約束の三分前。村瀬さんはもう来ているだろうか。

 緊張から次第に進むスピードも遅くなる。それでも一歩ずつ近づき、ロータリーに停まっている車を見渡していると、黒のセダンから降りる男性の姿が目に入る。

 バスクボーダーTシャツに、グレーのテーラードジャケットを羽織り、黒のテーパードパンツがとてもよく似合う。足元もポストマンシューズと、とてもオシャレだ。

 それを村瀬さんが着ると、モデルのように着こなしている。本当にカッコいい。

 すっかり足は止まり、近づいてくる村瀬さんに視線は釘づけ。
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