A Z T E C | 年上ドクターの甘い診察
「映画、行きたかったでしょ?杏の好きそうな星とか、空とかで」
実際、杏はとても楽しみにしていた。
でも、行かなくて良かったと思っている。
カラダを治すのが今は一番大事って
広瀬先生が教えてくれたから。
「蓮のやつ、杏を止めようと必死だったよ」
そう言って白石先生は
コーヒーをまた一口飲んだ。
「明らかに遊びに行く格好で、エレベーター乗り込む杏を見かけて。たぶん弟のときと重なったんだろうな……」
杏はよくわからなかった。
弟のときって何だろう。
夕陽が沈んだ後だからか、先生の顔が暗く見える。