死神列車は、記憶ゆき



ここはもともと駅員さんもいない、無人駅。

一応切符を買おうかなあと迷ったが、切符を購入できるほどのお金すら持っていないことに気が付いた私は、最終的に切符を買うことなく改札を通過した。

途端に、辺りを吹く風が生暖かいものへと変わる。見上げた空は真っ暗で、きらきらと輝かしい星々が至るところに散らばっている。これは現実世界に再び戻ってきたということだろう。

ということは、私の見た目や服装も元の世界線のものに変わっているはず。そう思い、私は視線を下に向けた。

「……やっぱり」

初めに過去に行った時と同じように、服装の変わる違和感こそなかったものの、私の身に付けているものは死神列車に乗車したときのものと一緒になっていた。

本当に、どんな魔法を使っているんだか。

軽く心の中で悪態をつきながらも、私はあの時と同じように、線路の先をじいっと見つめた。こうしていれば、きっと、列車は現れてくれるはず。

……それから数秒後。

あの車掌さんがくれた紙に書いてあった通り、線路のずっと向こう側に眩い光を灯した列車が現れ、こちらへと向かってくる。

そして、キィーッという耳をつんざくような高音を唸らせ、〝死神列車〟は、私を再び迎えにきた。


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