ラヴシークレットルーム Ⅰ お医者さんとの不器用な恋



『よかった・・・・・本当によかった。』


百貨店へ向かった翌日の午後7時過ぎ。
数件続いた分娩が落ち着き、医局でアイスコーヒーを飲みながらノートパソコンを開いて見つけた受信メール。


『完全大血管転位だったのか。』

胎児の動脈が上手く見えなかった理由もハッキリした。


『伶菜のほうは・・やっぱり血圧が上がっちゃったか。まだ心配だな。』


伶菜に自分から連絡を取ることができない俺にとって、本当に有難いメールだった。
しかも、治療方針も丁寧に書いてある文面を読み、伶菜が産んだ子供に完全大血管転位症という難しい病気があることを知った俺は改めて彼女に転院を勧めてよかったと胸を撫で下ろした。


そして、最後の追伸にて書かれていた言葉。

『チーム一丸で・・・か。心強い。』

その言葉を綴ってくれた人に
伶菜達をどうか助けて欲しいとすがるような想いで見つめた。

随分前の俺と家族とのやり取りも想い出しながら。



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