ラヴシークレットルーム Ⅰ お医者さんとの不器用な恋



あんなコト言っちゃったから
傍にいたいなんて言っちゃったから
私・・・やっぱり先生を困らせちゃった?

やっぱり言わなきゃ良かったのかな?



でも、このまま黙っていられると
どうしたらいいのかわからない

ごめんなさいって言うべきなのか
聴かなかったことにして下さいって言うべきなのか

わからない


今のワタシ
どうしたらいいのかな?

ねえ、日詠先生
ワタシ
どうしたらいいですか・・・・?




「・・・行こう。」

『えっ、どこに?』

「・・・俺の家。」

『えっ??俺のいえ?』


振り向き様に恥ずかし気な顔でそう言った日詠先生と
俺の家に行くということがどういうことなのか、今ひとつピンと来ていないなんだかマヌケな私


俺の家に行こうとかって
元彼がその言葉を口にした場合は、イコール ”エッチしよう”という意味だった

でも、祐希を抱っこしたまま俺の家に行こうと言われたということは
さすがにそういう意味じゃないよね?



じゃあ、日詠先生の場合はどういう意味なの?

今のワタシの頭じゃ全然わからない

どう解釈したらいいのかわからないんですけど
どうしたらいいですか?日詠センセ・・・・?



「・・・俺の家で一緒に暮らすっていうのはどう・・・かな?」


俺の家で一緒に暮らすということは
日詠先生と一緒にいてもいい
・・・・そういうことだよね?



もし、今、ここでノーと伝えたら、
きっと日詠先生は私に気を遣ってもうこんな提案はしなくなる

そうしたら、もう一緒にいられることはない


そんなのイヤ
彼のことがスキだから、そんなのイヤ

日詠先生が本当に私のお兄ちゃんであるのなら、
一緒にいてもいいよね?

スキという気持ちを抱えたままだけど
家族としてなら一緒に居てもいいよね?


今度こそ
今度こそ神様からの御褒美を
自分の手で掴まなきゃ




『よろしくお願いします!!』

私はもう迷いがないことを示したいが為に、はっきりとした口調でそう答えた。



「こちらこそ。さぁ、行こうか。」

日詠先生は包み込みような穏やかな声でそう答え、抱っこしている祐希とともに歩き始めた。
私もメロンパンの入った紙袋を抱えながら彼らの後を追いかける。


兄と妹親子というちょっと変わった構成だけど、
その光景は私が憧れた幸せな家族が過ごす日曜日そのものだった。



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