ラヴシークレットルーム Ⅰ お医者さんとの不器用な恋


今までの私は高校時代まで勉強ばかりやってて恋愛なんて言葉なんて存在しなかった

目標にしていた大学に合格できたという解放感から、それだけじゃいけないと思って
髪の毛をライトブラウンにカラーリングして
薄いラベンダーのアイカラーをさして
目尻の周りにはパールパウダーを纏い
ネイルには小さなストーンを載せて

大学デビュー



自分から男を好きになり、
自分から男を追いかけ、
そして
自分から恋愛を追い求めた

その結果は
その男にボロボロにされあっさり捨てられるお粗末なものだった


そんな私が今、初めて抱いた感覚
それは大人の男の人が持つ ”包容力” という空気



日詠先生のその優しさ、その温かさはきっと誰に対してもだとわかっているのに
このままだと私、彼のことを好きになってしまいそう

自ら命を絶とうとした私を2回も救い出してくれた
あなたのことを・・・・

今後、元カレとの間にできてしまった子供の出産を控えている私なのに
しかも、神の手を持つなんて言われている凄い人である彼のことを好きだなんて

おこがましいし、あり得ない想いだよね・・・


「検査の続き、やっていいか?」

『あっ・・はい!!!!お願いします。』


今、自分の頭の中の大半を占め始めている彼によって現実に引き戻された私は、前回の検査後のように逃げ出すことはなく、素直に目を閉じ、超音波検査の続きを受けた。



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