いちばん星の独占権




────思えば、ラムネ瓶のなかにあるビー玉のようだった。




どう頑張っても、取り出せない、ふれられないから、余計キレイに見える。


なんとかして、瓶の中から出してみたかった。


いざ、手のひらの上にのせることができれば、それは、ただのガラス玉なのかもしれなくても。




恋は朽ちて、重苦しい劣等感になる。




振り向かせたい、それはいつからか手段ではなく目的になっていた。

いつまでもりっちゃんに追いつけない劣等感から、苦しさから、そうすれば逃れられるような気がした。




りっちゃんが彼氏を連れて帰ってきたのを見たとき、いちばんに思ったのは、嫉妬でも悔しさでもなく、喉をかきむしりたくなるほどの焦燥感だった。




ああ、またか。
また、置いていかれるのか。



いつまでも俺は子どものまま、りっちゃんだけが大人になっていく。




高校生になっても、衝動的に髪を金色に染めても、なにも変わることはなかった。


りっちゃんの目に俺がうつることは決してなくて、結局俺はその他大勢にしかなれなくて灰色にうもれて────。




でも。





『 “ナルチカ” って星の瞬きみたいな名前』






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