いちばん星の独占権





────ガラガラッ



スライド式の扉が、来客を告げる音を立てる。

いつも思うのだけれど、さびついた扉を押し開けるときに、少し大げさなくらい鳴り響く音は、呼び鈴の代わりなのかもしれない。




時計を見れば、昼休みが始まって、きっかり5分。


今日は、水曜日。





「なるちかくん、また来たの?」





今日が締切の保健だよりのコラム。

《 熱中症には梅干しがきく! 》 というところまで書き終えて、一旦シャーペンを置いた。



それから確信をもって、保健室に入ってきた影の方を振り向く。


そこには、やっぱり。




「来ちゃった」




来ちゃった、じゃないよ、もう。
ほんとうは、完全にルール違反。

スリーアウトなんてとうに過ぎていて、野球ならとっくにチェンジだ。





「なるちかくん、保健室は休憩所じゃないよ」





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