いちばん星の独占権


視線の先で、なるちかくんに話しかける女の子が、何気なくなるちかくんの腕にふれた。


それだけのことで、ズキンと心臓に鋭い痛みがはしる。


痛いところから、黒いもやが広がっていくのがわかって、うつむいた。



「……っ」



どうして、こんなに苦しいのかな。


足がふるえて、ここに来た目的も忘れてしまいそうになった。

そうだ職員室、もう行かなきゃ。



ぱ、と顔を上げると。



「!」



たまたま、目に入ってきただけ。

どういう流れでのそれか、なんて、わかるはずもなかったけれど。


なるちかくんを取り囲む女の子たちのなかに、れーちゃんがいて、なるちかくんがれーちゃんの言ったなにかに、頷いて、笑った。


たったそれだけのことに動揺して、抱えていたプリントをバサバサと取り落としてしまう。




「あ、わ」





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