一途な彼は真面目で純粋で歳下で。《完結》
『、、相手が俺で良かったですね。他の男だったらキスなんかじゃ済みませんでしたよ。それと、そんな無防備な姿は絶対に他の男には見せないで下さい。』
もう一度だけ少し乱暴に口づけをしてから彼女の部屋を出た。
外から鍵を掛けてから、ドアに付いている小窓から部屋に鍵を投げ入れた。
ゴトりと鍵が玄関に落ちる音を確認してから、階段を降りて車に乗り込んだ。
『っはぁ〜、、。』
ハンドルに項垂れると、驚くほど深くため息が出てしまい自分の愚かさを知る。
寝ている彼女に無断でキスをしてしまった事や勝手に部屋に入ってしまった事に今更ながら後悔が襲う。
彼女の事が好きで大事にしたいだけなのに、上手くいかない。
空回りしてばかりだ。
もっと彼女との距離感を考えなれば、いずれ無防備な彼女を酷く傷つけてしまうかもしれない。
俺に向けてくれるあの屈託のない笑顔がみれなくなる、、それだけはあってはならないと自分に言い聞かせて車のエンジンを付けて家路へと向かったのだった。