一途な彼は真面目で純粋で歳下で。《完結》









「ううん、嫌じゃないよ。じゃあ行こう?」





彼の手を取り、玄関から外へと出た。

アパートの入り口に彼の車が止まっていて、鍵を掛けてから車へと乗り込んだ。






運転中、彼はずっと無言だったけれども繋いだ手は運転中も離されることはなく繋がれてたまま。

だから不思議と安心できた。












車を走らせる事、数十分。


たどり着いたのは少し古びた二階建てのアパート。




車を駐車するとそのアパートの一階の角部屋の前で足を止めた彼。






『ここが俺の住んでいる部屋です。想像と違っているでしょう?紗江さんにはよく見られたくて随分と自分を偽っていたので。、、幻滅しましたか?知りたくなくなりましたか?』

「想像とは少し違ったかな。でもそんなの関係ないよ。寧ろ知りたい思いが強くなった。幻滅なんてしないよ?お邪魔してもいい?」





そう答えると泣きそうな表情で鍵を取り出し、ドアノブを回した。















初めて入る彼の部屋は本当に殺風景で、極端に物が少ない。






有るのは小さめの冷蔵庫とベットくらいだ。






< 191 / 456 >

この作品をシェア

pagetop