100-3は? ~なにもかも秘密な関係~
「もっ、申し訳ございませんっ。
 申し訳ございませんっ。

 ありがとうございますっ」
と卑屈なまでに頭を下げて、エレベーターに乗り込もうとしたその瞬間、あやめの耳許で、基がぼそりと言ってきた。

「これで、ひとつ借りは返したからな」

 ええっ? とあやめが振り向いたときには、もう扉は閉まっていた。

 あやめはクリーム色のエレベーターの扉を見つめ、心の中で叫ぶ。

 ええっ?

 借りは返したって、今ので、ひとつっ!?

 私まだ、なんにも願ってないんですけどっ? と思ったとき、横から、でっぷりとした技術屋の原、というおじさんが笑って言ってきた。

「古川さん、美人は得だねえ。
 おじさんが駆け込んだんじゃ、専務も譲っちゃくれないよねー」

 すると、誰かが、
「原。
 お前だったら、二人降りないと乗れないだろうが」
と言って、みんながどっと笑う。
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