旦那様は内緒の御曹司~海老蟹夫妻のとろ甘蜜月ライフ~

 仕事に関しては俺も協力できることがありそうだから、手を差し伸べてやればいいとして。恋愛に関しては、俺の方もなかなか可哀想なんだぞと、誰にも話したことのなかった許嫁の存在を暴露した。

『ちょっとなにそれ、許嫁って……あんた、いいところのお坊ちゃんなの?』

 ……やべ。今どき許嫁がいるとなると、そういう発想になるのか。

 正直に自分の身分を明かそうか一瞬迷ったが、それを知ったカニが俺と距離を置くようになったら寂しいと思い、俺は軽くごまかすことにした。

 幸いそれ以上俺の家柄についてカニが突っ込んでくることはなく、ふたりきりの飲み会は大いに楽しく盛り上がった。……いや、ちょっと盛り上がりすぎた。

 いくら同期で気が合うからって、女性を軽々しく自宅に誘って、さらに酒を飲ませシャワーを貸し、泊まらせるなんて大人の男としてどうなのか。ま、今さら俺とカニがどうこうなるなんて、ありえないとは思うけど――。


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