旦那様は内緒の御曹司~海老蟹夫妻のとろ甘蜜月ライフ~

 結婚に関しては、昨日のうちにエビが『サプライズ成功しました!』と母に報告してあり、帰ったら赤飯やらステーキやらのご馳走がテーブルに並んでいた。

 とにかくお祝いムードで喜ぶ母に対し、父は口では『おめでとう』と言いつつも、やはり娘を嫁にやる寂しさがあるらしく、しくしく泣きながら日本酒を飲んでいた。

 というわけで、一カ月限定のお試しだとはもちろん明かせないけれど、一応結婚に関して両親の理解は得られているから、いつ引っ越しても問題ないはずだよね……。エビは、早く私と暮らしたいって思ってくれているみたいだし。

 ぼんやり考えながら、会社を出る。ひとりで帰るのなんていつものことなのに、なんだか物足りない。隣にエビがいてくれたらなって、自然と思ってしまう。

 どうやら私にとって、彼はただの同期……ではなくなりつつあるみたいだ。もし、このまま彼を好きになったら私、今度こそ幸せになれるのかな。失恋は、もうこりごり……。

 エビとの恋愛に真剣になりたい反面、前回の失敗から臆病になっている自分もいて、どっちつかずな感情がいつまでももやもやと胸の中に渦巻いていた。

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