【女の事件】とし子の悲劇~2・5世帯のなみだ
第1話
2007年10月21日、大島の吉海町にあるよしうみバラ公園にて…

この日、瀬戸の花嫁バラウエディングが開催されていた。

アタシ・としこ(36歳)はダンナ・雄一郎さんとダンナの親きょうだいたちと一緒にいた。

よしうみバラ公園で開催されている合同結婚式に雄一郎さんのいとこ夫婦が参加していたので、家族みんなで挙式のお祝いに行った。

雄一郎さんのいとこさんとお嫁さんは、高校時代の時からの恋を実らせて、恋人の聖地・シーサイド双海(伊予市)にある恋人の聖地のモニュメントの前でプロポーズを経て結婚した。

夫婦の仕事の都合上、挙式披露宴をあげなかった。

その代わりに、瀬戸の花嫁バラウエディングで結婚式を挙げた。

それから20分後に合同結婚式が終わった。

アタシたち家族は、公園内にある観光センターの建物の2階のレストランにいた。

少し遅れて、主役のふたりがアタシたち家族がいる席に来た。

「けいすけくん(雄一郎さんのいとこの名前)、最高の結婚式だったね…おめでとう。」

義父さま(雄一郎さんのお父さま)は、にこやかな表情でけいすけさんの結婚を祝った。

けいすけさんは『おじさま、ありがとうございます。』とにこやかな声であいさつをした。

このあと、家族みんなでけいすけさんのおのろけ話で盛り上がった。

しかし、義兄の桂一郎さん(以後、義兄と表記)がひねた表情を浮かべた。

義父は、過度にやさしい声で義兄に言うた。

「まあ桂一郎、けいすけの慶びの日なのだから、祝福してあげてや…桂一郎にも、すてきなお嫁さんは来てくれるよ…お父さんは、じっと待っていたからお母さんに会えたんだよ…うちには、としこさんがいるから…いいじゃないか。」

義母は『としこさんは家のためにみそしるを炊いてくださって、掃除洗濯からきょうだいたちの散髪まで何でもこなせるいい嫁さんよ…』とペラペラとしゃべりまくった。

それって、アタシがいるから桂一郎さんにお嫁さんは必要ないと言うこと?

アタシは、心の中でそう思った。

だけど、義父母さまはところかわずにペラペラペラペラとしゃべりまくる…

『じっと待っていれば、結婚相手は自然に来る…』

義父母は、義兄に対してそのように言うた。

義父母は、のんきにかまえている…

義父母は、義兄が恋人にふられて傷ついた姿をみるのがイヤだからそのように言うたと思う。

そのような考え方は、はっきり言うて違和感を感じる…

義父母の世代は、近所にお見合いの世話をして下さる仲人さんがご近所にいたので、じっと待っていても結婚相手に出会う機会があった…

ほやけん(だから)、自分の子供たちに『じっと待っていろ』とさとした。

それだけでは、結婚相手は来てくれない…

知人や職場の上司や学校時代の恩師などにお見合いを頼む…

結婚相談のお店を活用するかお見合いイベントに参加する…

なのに、義父母は自然の流れに任すことしか知らない…

義兄の心は、ひどくヒヘイしている。

アタシ・としこと雄一郎さん(以後、ダンナと表記)は、2006年にお見合いで結婚した。

ダンナの職業は、今治国際ホテルに勤務で年収は900万円…

最終学歴は松山大学卒業…

高校・大学そして、親会社の今治造船のボート部できたえた体型で、背が高い…

ダンナのとりこになったアタシは、ソッケツで結婚した。

結婚後は借家を借りてふたりきりでの暮らす予定だった。

しかし、義父母が『桂一郎がお嫁さんをもらう時まで、うちにいてくれぇ~』としくしく泣きながらアタシに言うた。

義父母から強要されたアタシは、西条市壬生川の喜多台の田園地帯にあるダンナの実家で暮らすことになった。

ダンナと義父母と義兄は、外にお勤めに出ていた。

義弟の健一郎さん(以後、義弟と表記)は松山の大学に在学中で、松山市内のアパートで暮らしていた。

アタシは、掃除洗濯料理からシングルきょうだいと義父の散髪まで、専業主婦をこなす日々を8年間続けた。

しかし、アタシは自分がコーマンチキな態度になっていることに気づかなかった。

この8年の間、義父母はおいやめいにカネをばらまくようになった。

義父母は『親類のお祝い事だから…』と言うて、家の貯蓄や義兄の将来のために使う貯金にも手をつけた。

義父母のばらまきのせいで状況が悪化していると言うのに、のんきにかまえている。

アタシは、義兄に『すてきなお嫁さんが見つかるように、家族みんなで応援しているからね…』とこたえるしかできない。

そして、2014年夏…

義兄の結婚問題が深刻になった。

同時に、アタシにきついしわよせが来た。

恐ろしい悲劇の幕があがった。
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