いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました



***


混み合う時間帯をとうに過ぎているからか。
ぽつりぽつりと間隔を空けて停まる10台にも満たない車。
スーパーの自動ドアが開かれて、出てきた人物は、そんな中、一目散に高柳の車を目指し走り寄ってきた。

高柳が窓を開けて、僅かに口角を上げ、到着を待つ。

彼は、車の前で立ち止まり息を切らせながら大きな声を出した。

「部長……!なんで、また立花を!しかも今日は連れ回して」
「どの口が言うんだ?お前、あのまま帰ろうとしていただろう。まあここを逃したままでも、数字はギリギリ予測に乗っていたからな」
「……すいません」
「やれば出来るものを、手を抜こうとするな、いつもいつも」

平然と高柳に言い返された様子の、彼は。次に真衣香へと視線を向ける。

「……ごめん、立花。大丈夫だった?また嫌な思いさせた、ごめん。ほんと」

言いながら気まずそうに視線がそれていく。

「……う、ううん」

しかし真衣香の方も、一言だけを返して言葉が続かない。
続かないというよりは、どんなふうに話せばいいのか正直わからないでいた。

……普通であれば、居心地の悪い空間だったろう。

けれど、特に気にする様子も、気遣う様子もなく。高柳はさも当たり前とでも言わんばかりに、軽やかに言った。

「では、立花さん。俺は一度会社に戻ります」

唐突な言葉に、真衣香はただ返事をすることしかできない。

「え?あ、は……はい。あの、今日はごちそうさまでした」
「いえいえ。またご一緒しましょう」

にっこりと……何となくわざとらしく見える満面の笑みでそう返してきた高柳。
坪井の方を見て「あっちに行け」と助手席側を指した。
意味がわからない。と、反抗的な表情を一瞬みせた坪井だが。ふぅ……と聞こえるか聞こえないかの小さなため息をついて動いた。

助手席側に来た坪井に「開けてあげなさい」と高柳が言うと、また小さく息を吐いて、ゆっくりとドアを開けた。
常に不服そうにしている坪井は、なんだか珍しい。

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