いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました


ここ数年で大きな成長を遂げているといわれている真衣香が働くYフーズ・セレクトは家庭用、業務用共にあらゆる加工食品を手がける食品メーカーだ。
安定はしているが、今はまだ決して大手企業とは言えない。

そのYフーズ・セレクトにとって坪井の在籍する営業部二課は、今後の成長の核となる量販店や大型小売店など卸業者を通さない直接取引が主な業務内容だ。

一課が主に卸業者へのルート営業を担当し、日常的な受注は電話やメール、そしてFAXで済ませることが多いことに対し。

二課は直接取引の量販店、大型小売店、稀に、ある程度の受注を見込める飲食店などを相手にしている。
その為、一課よりも取引先に足を運ぶことが多い。役職以外は若手で構成されている為忙しく、みんな『早く一課にいきたい』と愚痴っていると真衣香は聞いていた。

(そんな忙しい人たちの邪魔……しちゃったの、私)

「今日も坪井くん戻らないし部長も連日会議で戻らないんだよね、困ったな、こんな忙しい時期に」
「正直あそこの仕入れ担当者、部長か坪井さんくらいしか相手にしてくれませんもんねぇ」
「す、すみません、本当にすみません」

坪井の名が出た為、更に焦ったのか。
真衣香は握り締めた手に汗をかいた。

「坪井さんかわいそ〜。 戻ったらいきなり仕事増えちゃいましたね、ちょっと優しくしてあげたら勘違いしてお花畑になってた冴えない同期のせいで」

一字一句真衣香に立場を言い聞かせるように森野が嫌味とも取れる発言をする。

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