【女の事件】いらくさの家
第2話
多香子が子供ふたりを連れて実家へ出戻り…

美香子は40前なのに、結婚していない上に職を転々としてばかりいる…

私たちが想い描いていた老後が、送れなくなってしまった…

多香子の両親は、自分たちの老後のことしか頭にないので、多香子と美香子に対してイライラをつのらせていた。

『早くしろ!!』『焦れ!!』『こっちは急いでいるのだよ!!』…

両親は、多香子と美香子に対して早く自立しろと強要していた。

なので、多香子と美香子の心は大きく傷ついていた。

多香子の両親は、38年前に子供がいる同士で再婚をした夫婦であった。

夫婦が再婚をしたきっかけは、きわめてあいまいな動機であった。

どうしてなのかと言うと、多香子の両親はふたりとも『早い時期に結婚をして失敗してしまった…』と言うて、自分勝手な形で離婚をしたイキサツがあった。

『早い時期に結婚をして失敗した…』『遊びたい時期に結婚をしたら自由がなくなるから…』『お給料が自由に使えない…』『結婚をしたら自由が制限される…』『独身の方が気楽でいいよ…』『独身の方がお給料が自由に使えるから…』『早い時期に結婚したから楽しいことができなかった…』『いいなぁ…独身は…』…

多香子と美香子は、両親から自分たちの結婚はガマンばかりだったと言うてから『20代のうちは楽しいことをして過ごす方がいいよ。』と教え込まれていたので、その通りに過ごしていた。

そして、多香子と美香子がそれぞれ30代のおわりが近づいてきた頃になったとたんに両親がオタオタオタオタとおたついていた。

『いつになったら結婚するのよ!!』…

両親はそのように言うて、2人に結婚を急かしていた。

これに対して2人は『結婚?何それ?』とシラけた声で両親に言い返した。

どうすればいいの…

多香子と美香子に良縁が来ないかもしれない…

そうなったら…

私たちが想い描いていた老後が送れなくなるかも…

多香子と美香子がそうなってしまった元凶は、両親が抱えている深刻な問題にあった。

多香子の母親は、父親と再婚をするずっと以前にトーダイ卒の管理職の男性とお見合いをして結婚をしていた。

最初のダンナは、母親に頭があがらないマザコン男だった。

最初のダンナは、気に入らないことがあればお嫁さんにイカクするなどしたので、結婚生活は大きく壊れてしまった。

多香子の母親は、最初のダンナが『結婚をしても親きょうだいと同居していることが気に入らない!!』と怒って、ダンナに母親と別居してほしいと強要した。

その時のダンナは『ママと別れて暮らすのはイヤだ!!』と言うてだだをこねていた。

そしたら、多香子の母親は『それなら離婚よ!!』と怒って、最初のダンナの顔を平手打ちで激しく叩いてケガを負わせて、強制的に離婚をした。

その結果、最初のダンナの家との間に溝を作ってしまった。

それから8ヶ月後に、母親は多香子をひとりで出産してひとりで多香子を育てていた。

しかし、多香子の母親はひとりで多香子を育てている途中でノイローゼにおちいってしまった。

歩道橋から飛び降り自殺をはかろうとしていた多香子の母親を助けたのが、今のダンナとの縁を取り持った仲人であった。

仲人さんは、自殺しようとしていた多香子の母親に対して『もう一度ダンナと仲直りをしたらどうかなァ…』と提示したけど、多香子の母親は『あんな虫ケラ以下のマザコンクソバカ男と仲直りするのだったら、多香子を道連れに心中するわよ!!』とカンシャクを起こして仲人さんをキョウハクした。

仲人さんは、多香子の母親に最初のダンナのいとこで陸上自衛隊の幹部自衛官の男性と再婚することを提示した。

仲人さんからの提示に対して、多香子の母親は『(マザコンダンナ)よりも(マザコンダンナのいとこ)の方が早い時期に親元から出て寄宿舎生活を送っていて、社会に順応した大人になっているから、そのようにさせてもらいます。』と言うて、マザコンダンナを見くだすだけ見くだしてグロウしまくっていた。

多香子の母親は、幹部自衛官のダンナと結婚生活を送っていた。

しかし、再婚してから数年後に2度目のダンナが東京都内でぼったくりの風俗店の客引きにつかまってしまった後、年齢をいつわって働いていた13歳の少女にインコウをしていたことがオモテザタになったので、チョウカイメンショクを喰らった。

それを聞いた多香子の母親は、より激しい怒りに震えていた。

多香子の母親は、2度目のダンナに対して『最初のダンナが虫ケラ以下のマザコンクソバカだから、いとこであるあんたも虫ケラ以下のマザコンクソバカなのよ!!』と言うて、激しい平手打ちで顔を叩いてケガを負わせたあと強制的に離婚をした。

そして、多香子が8歳くらいの時に母親が赤ちゃんがいる男性(今の多香子の父親)と再婚をして、今の家庭になったと言うことであった。

それから時は流れて…

多香子と美香子は、両親から『早い時期に結婚をしたから失敗したので、独身の方が気楽でいいよ…』と教えられたので、20代から30代の前半は趣味などの楽しいことをして過ごしていた。

そして、多香子が30代のおわりが近づいてきた時から、両親が多香子に対して『いつになったら結婚をするのだ!!』と言うて結婚をせかすようになっていた。

多香子自身は『結婚したくない!!』と怒っていたので、両親が思い切り困り果てていた。

多香子が結婚をしたのは41歳の時であった。

結婚相手は、50歳の神奈川県警の警察署の署長で章介の父親であった。

多香子は、章介の父親の両親から『章介の母親になってほしい…』と言われたので、しぶしぶ結婚を承諾をした。

そして6年前に、ダンナの弟・ソウスケが職場で女性を妊娠させてしまった事件が原因で多香子は思い切りキレていた。

多香子がダンナに対して『ダンナの弟のセクハラ問題の原因は兄であるダンナに落ち度がある。』とボロクソに言うた。

多香子からボロクソに言われたダンナは、ひどく傷ついてしまった。

そうしたことが原因で、結婚生活はハタンした。

そして、多香子は章介とヨウスケを連れて家出をして実家へ出戻りとなった。

もちろん、ダンナの家とは対立状態が続いたままになっていたので、6年たった今現在も宙ぶらりんのまま…

両親はこの時『多香子と美香子を一刻も早く自立させないと、手遅れになってしまう。』と焦っていた。

どうにかしないと…

一刻でも早くどうにかしないと…

手遅れになってしまう…
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