桜の咲く頃……… 君を想う
そうと決まれば、早く二人きりになりたい。

「それじゃあ、さっさと片づけを済ませて帰ろう!」

テーブルの上の、缶や皿をキッチンに運んでいると

「亨。
後は俺達がやるから、送ってこい。
お前こそラストチャンスだからな!」と

春人に釘を刺された。

分かってるよ!!

今度こそ、当たって砕けろだ。

まぁ、砕けると困るから………

砕けない程度に当たろう。

「はい、二人分の朝食!
仲良く朝を迎えてね!!」

さっき、酔ってるから送れと言っていた夏苗ちゃんは。

俺にだけ聞こえる声で………

明日の朝食を、持たせてくれた。

ホント…………

春人は、良い嫁さんをもらったよ。

気の効く夏苗ちゃんに、お礼を言って。

玄関に向かっていると………。

「桜!」と呼び止めた玲奈ちゃんが

やっぱり同じように、朝食用のパンを手渡していた。

ただしこちらは…………

「そんなの貰っても、困るよう」と

本気の困り顔を見せていたけど……。
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