桜の咲く頃……… 君を想う
「あぁ…………えっと…………………はい。」

なんとも、歯切れの悪い答え方に

嘘を言っているのは明らかだ。

おまけに、目を泳がせて合わせようともしていない。

別に…………浮気なんて心配していない。

4年もお互い片想いしていたんだから………。

急に他の人に目移りするなんてありえない。

それなら、告白までに諦めて他の人を探して恋愛していたはずだ。

だったら何故嘘をつくのか?……………。

嘘をついてまで……………何処に行きたいのかが気になった。

それに……。

俺の問題として、無理に誘ってでも

デートに出掛けたい理由があった。

………………というのも

想い出に残る場所に行きたい。

二人のこれからにピッタリくる、想い出の場所を見つけたいんだ!

だって…………

ポケットには、毎回小さな包みが入っている。

もちろん、給料の3ヶ月分以上のリングだ。

これを渡して、安心したい。

結婚は…………もう少し先でも

婚約はしたいんだ。

今までのデートでも、何度かチャレンジしてみたが。

デートが初めての彼女は、おおはしゃぎして………

なかなか良いムードに成らない。

おまけに、お父さんの心象を良くしたいから

遅くまでつれ歩くこともしていない為、夜景やイルミネーションも

見ていない。

だからどうしても、ウチの学生のような

健康的なデートになってしまう。

この間行った水族館でも……………。

少し薄暗い館内を、手を繋いで見たいと思ったが。

「本で見ていた魚の生態を、実現化してる!!」と感動して。

魚の種類と深水の深さをメモっていて

気分はすっかり、遠足の引率をしている仕事モードだった。

こんな時、彼女とは教え子と生徒なんだと思い知らされる。
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