笑顔の行方

家族

けど…………

改めて、寧々が大切な存在だと思い知った。

あの寒々としたマンションに

一人で帰るのが怖くなる。

「………彰人君。
お母さんがね…………
彰人君が目を覚ましたら、これを渡してって。」

そう言うと1通の封筒を渡された。

表には…………『可愛い息子の彰人へ』と。

??

『彰人君。
……………もう息子だから、彰人で良いわね!
彰人、一人の辛さが分かったでしょう?
あんな良い娘と生活しておいて
手放せる訳ないのよ~
諦めて寧々をもらいなさい。
これは、寧々の母親として言ってるんじゃないの。
高校生の頃から洋介と一緒に見てきた母親として言ってるの!
貴方には、大切な家族が必要よ。
お兄ちゃんじゃあダメ。
貴方だけを愛してくれる人がいるの。
…………だから、寧々と一緒に生活しなさい。
そうして、愛される喜びと安心を知りなさい。』

………………………と。

……………………………………………。

『母親として。』

俺が心から欲した言葉かもしれない。

母親として、俺のことを心配してくれる………。

この年で………

こんな、くすぐったい気持ちにさせられるとは………。

やはりおばさんは、スゴい。

寧々の母親だけあるよ。
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