笑顔の行方

再び、同棲

「お邪魔します………………。」

洋介とは高校生の頃からのつき合いで

この家も、まだおじさんがパン屋をやっていた頃から

よく泊まりに来ていた。

今は、パン屋を畳んで洋介の家の横で新しく店を出しているから

ここに来るのは久しぶりだ。

「この間、寧々を探しに来た時にあれっ!と思ったけど。
パン屋を潰して建て直したんだな?」

商店街の一角にあるパン屋を、おじさんが死んでから洋介が継いでいた。

彩ちゃんと結婚して、洋介が兄貴の会社に勤めてから

一旦店は、畳んでいたが。

おばさんの強い要望で、洋介達の新居の横に店を構え

幼稚園を辞めた彩ちゃんとおばさんが

職人を雇って営んでいる。

パン屋の朝は早いから

おばさんと寧々も、一緒に同居していた。

「これが、この間言ってた秘密なの。
お母さんが、いつか私が好きな人と住めるようにって………
建て替えたんだ。」

………………………………それで…………俺が同棲。

………………マンションを売られたことと言い…………

はめられた感満載だ。

「…………………ごめんね。
この間の事が、病院で流れて…………
大パパとお母さんが……………。」

だからあんなに申し訳なさそうな顔をしてたのか。
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