笑顔の行方
「今から、彰人君のお母さんの納骨があるの。
正式には…………
お墓を移したんだけどね。
ごめんなさい、私が発案したの。
この間水族館で、3歳の時からお墓に行ってないって言ったでしょう?
その時の彰人君が…………寂しそうで。
どうして30年以上も行ってないのか気になって、パパに聞いたの。
だって、彰人君の一番大切な思い出のプリンを作ってくれる人だもん。
パパなら解ると思ったんだ。
聞いた途端……………パパが涙を溢して…………。」

「寧々!?
それは言わない約束だろう!」

焦る兄貴を無視して

「直ぐにおおパパに電話して、おおパパも飛んで来たの。」

「会長も社長も、全ての予定をキャンセルして時間を確保したんだ。」と

洋介が補足した。

「彰人…………すまない。」

「彰人……………………ごめん!!」

兄貴二人は、俺に頭を下げる。

「パパ達、彰人君のお母さんが亡くなったことは知ってたけど。
お墓が何処にあるか知らないことも
一度も行ったことがないことも………。
二人とお母さんに遠慮して、行きたいって言わなかったことにも
気づけなかったんだって…………。
直ぐにおじさんに連絡して、お墓の場所を聞いたら
おじさんが大切に、一人でお参りしていたことも知れたの。
おじさん、お母さんをとっても大切にしていたんだよ。」

あまりに信じられない話しばかりで………

何に驚いていいのかさえ解らない。
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