最初で最後の愛の話
恋の始まりは切ない
世の中を生きる人は、よほどのことがない限り「死」というものを考えることはないだろう。

誰にでも、いつか「死」は訪れる。しかしそれはいつなのかわからない。僕らにとって「死」というものはあまりに遠すぎる存在で、それが来るのは何十年も先だと思ってた。……昨日までは。

「あたし、ウェルナー症候群なの」

窓の外を舞う雪を見つめながら、クラスメートの花山愛(はなやまめぐむ)さんは言った。

その瞬間から、僕の運命は変わっていたんだ。



四月。出会いと別れの季節。僕、相原(あいはら)ミコトは空咲(そらさき)高校に入学した。一学年だけで二百人を超える進学校だ。

「ミコト、同じクラスだな!また英語の時助けてくれよ〜」

幼なじみの牧野透(まきのとおる)が話しかけてきた。僕はため息をつく。

「助けてって教えるっていう意味じゃなくて、サボった時にノートを見せてくれってことだろ?中学と違うんだから、きちんと授業に出ろよ」

「だってさ、英語とかマジ暇じゃん!眠くなるし〜。それだったら屋上で昼寝する!!」

「好きにしなよ。留年しても知らないからね」

「ノートは?」
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