梅咲君にはツノがある ~私、節王様と結婚します!~
「え? ああ、うん?」

「ご両親に結婚の許可をいただきに参りたいんだけど、どうかな」

「け……っ!」

 妻とか、結婚とか、ああもう……っ! さっきまで私の一方的な片思いだったはずなのに!

「……梅咲君に、お任せするよ……」

「ありがとう!」

「きゃ」

 ポップコーン咲きした満開の花びらを散らして、梅咲君が私をぎゅーっと抱きしめた。

 びっくりしたけれど、春の日向ぼっこのような暖かさと花の香りに包まれて、これ以上ない幸せを身体じゅうに感じながら、私は梅咲君の胸に顔を埋めた。
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