梅咲君にはツノがある ~私、節王様と結婚します!~
 人のいない階段の踊り場は陽も射さずひんやりとしている。

 けれど梅咲君がいるとほんのりと暖かい空気が漂う。

 私たちは階段に腰掛けて、途方もない年月の長さに思いを巡らせた。

「でもまあ、ホラ! 両想いってことでしょ。じゃあいいじゃん、ダブルデートできるし!」

「そっか、そうだよね。さすがポジティブ真央」

 先が見えなくて思いやられるなぁとか、そんなことばかり考えていたけれど、そうだ、私と梅咲君、両想いなのだ。

 王とか妃とかの前に、普通にカレカノということ。死ぬまで人間として暮らすんだから、普通に今を楽しめばいいんだよね。

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