Lose everything
2

綺麗で優しくて仕事も一生懸命な

桜子さん。

俺は直ぐに心を持って行かれた。

すらりとした体に
綺麗な顔立ち
真っ黒で綺麗な髪を
ハーフアップにして
スーツに身を包んでいる

そんな桜子さんを
狙っている男性社員は
沢山いた。

だが次々に告白して
玉砕されていく人達を見て
俺は、今の関係を壊したくなくて
気持ちを押し殺して
桜子さんに接していた。

ある時
「桜子さん、恋愛する気ないんですか?」
と、訊ねると
「あ~、無理無理
桜子には、ずっと片想いをしている
幼馴染みがいるからね。」
と、言ったのは
桜子さんと同期で大学から一緒の
那木 渉[なぎ わたる]さん。

「ええっ、桜子さんが片想い?」
「もう、渉、余計な。」
「いいじゃない。本との事なんだから。」
「その人は、桜子さんの気持ち
知ってるんですか?」
「ああ、うん。まぁね」
「告白しても、相手にしてくれない
みたいよ。うふっ、妹てきな。」
「告白?妹?羨ましい。」
「あっ、やっぱり高木君も
桜子が好きだと思っていた。」
「えっ、いやっ・・・」
「・・・・・・・・」
「やめてくださいよ、那木さん。
桜子さん、気にしなくていいですからね。」
「・・あっ、うん。ごめんね。」
「いや~、地味に傷つく。」
と、言うと
那木さんに背中を叩かれながら
「まぁっ、頑張りな」
と、言われて
「うっ、いてっ、頑張れとか・・」
頑張れと言われても無駄じゃん
と・・・思って・・

 ・・・・はや・・10年。
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