Lose everything
8

陽真は、新転地で
会社とマンションを
往復するだけの毎日を
送っていた。

初めてきた北海道は
空気も綺麗で
すごく癒された。

会社の人も最初は
途中入社の上、
中途半端な年齢の俺に
何か問題を起こしたやつか
嫌なやつなんじゃないかと
腫れ物にさわるような扱いで
ぎこちなかったが・・・

ここで生きていくしかない俺は、
紹介してくれた親父のためにも
雇って頂いたい社長や
前の会社の専務の為にも
必死にやることでしか
恩を返す事ができないと思い
必死に仕事を覚え
少しでも役に立ちたいと
その思いだけだった。

その懸命さが伝わり
二ヶ月過ぎると
話しかけて貰えるようになり
一緒に飲みに誘って
貰えるようになってきた。

支店の皆さんは、
良い人ばかりで
やりがいもあった。

今までの仕事とは
まったく違うが・・・

ときには、ヘルメットを被りながら
ときには、安全靴をはいて
と、真新しい事が新鮮で楽しかった。

親父には、たまに報告の
連絡をしていた。
「そうか。」
と、言うだけだが
喜んでくれているのが
わかった。

宮下さんの御両親と
「話をした。」
と、言われた。

こんな年になって
父や義母に迷惑をかけた事を
申し訳なく思い詫びた。
だが、親父は
「子供の事を親が心配して
何が悪い。」
と、笑ってくれて・・・

本当にありがたい・・・・。。

しばらくすると
千紗から母親の携帯を通して
LINEがきた。

千紗から送られた
写真がきっかけには
なったが・・・
遅かれ早かれ、こうなっていたのでは
ないかと思っていた。
俺が急ぎ過ぎたんだ・・・と。

今でも桜子の事を思うと
たまらない気持ちになる

しかたないよな・・

10年も片想いしていた相手だ。
そう簡単には‥‥‥‥
好きを取り消すことはできない・・
愛してる事を否定することなんか
できない・・

ただ・・桜子には幸せになってほしい。
長く秀一さんを想い続けた桜子
本当に愛し・・愛される幸せを
味わって欲しい。

それを····自分が···できなかったことが
残念で・・しかた・・ない‥‥‥‥
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