Lose everything
12

翌日・・・

俺は秀一さんから連絡を
もらった場所の近くにいた。


桜子が‥‥‥
幸せそうに‥‥‥微笑んでいたら
そのまま‥‥‥‥戻ろう‥‥‥‥


だが・・・

見合いだと言うのに
ここは、海の見える公園だ。

天気も良くて
春風の気持ち良い場所。

今の桜子には、仰々しい事は
無理だと配慮されての事だと
秀一さんは言っていた。

お見合いの時間より
少し経ってから
その場所に近づいてみると‥‥‥‥

桜子の黒髪が風で揺れているのが
見えた・・

あの当時
式の為に腰まで伸ばしていた髪は
今、鎖骨の辺りの長さになり
軽く巻かれていた。

桜子の隣に座っている男性は
短髪で眼鏡のフレームが
横からチラチラと見える。

男性は、桜子の方を見ながら
話しかけているが
二人がどんな顔をして
話をしているか
俺からは見えない。

真正面から二人を見る勇気もなく
距離を置いて見ていると


肩を“ポンポン”と・・・

振り向くと
「‥‥‥那木‥‥さん‥‥」
と、後ろに下がると
腕を取られて、逃がさないと
いわれてるようだ。

「高木、久しぶりだね。」
と、言われ
「・・はっ、はい。
   ご無沙汰してます。」
と、頭を下げると
「はぁっ、まったく」
と、ため息をつかれ
「ああっ、誤解しないでください。
俺は、桜子・桜子さんの邪魔をしに
来たわけではありませんから。」
と、慌てて伝えると
「バ~カ!!そんなこと
思うわけないだろ。」
と、言われ
「なぁ、高木?
お前、このままで本当に良いのか?
桜子に10年も片想いして
桜子を、ずっとみてきたんだろう?
誰にも取られたくなかったんだろ?
このまま、桜子と永久に
別れていいのか?」
「‥‥い‥‥い‥‥わけ‥‥ないっ‥‥‥」
「だったら、取り戻してこいよ。
お前に昔に女の影があろうが
なかろうが、それは過去の話だ。
桜子だって、秀一さんから
離れるために、もがいて苦しんだ
時期はあるんだから。」
「‥‥‥‥知って‥‥‥」
「ああ、千紗ちゃんからな。
無理やり、何年も何度もお願いしたと。」
「千紗だけが悪いわけでは
ありません。」
「だから、いいんだよ。
終わった事だろ?
桜子もわかってる。」
と、言われた。

俺は、その言葉を
聞いて‥‥‥‥‥‥

一歩ずつ‥‥‥前に進み‥‥‥‥
桜子の後に立つ
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