先輩と、一時間。



「先輩の学校の前の道で行こっかな」



駅から学校へ二人で向かう途中、私は言った。




私の学校は、先輩の学校より遠い。

本当は通っちゃダメなんだけど、先輩の学校の前の道で行っても、遠回りにはならないのだ。




「ダメだ」

「なんでですか?」


私は少しでも長く、先輩といたい。




「通学路じゃない道通っちゃダメだ」

「でも私の友達でも、高野浜高校の前通ってる子いますよ?」


「それでもダメだ」



なぜか、先輩は私を高野浜高校の近くに行かせない。



「ちょっとでも長く、先輩のそばにいたいのにな……」

私がしょんぼりと呟くと、急に先輩が立ち止まった。
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