【女の事件】女王蜂~魔女になってしまった花嫁さん
第14話
たけひこがしほこが着る予定だったウェディングドレスなどの結婚関連の品物を全部持ち出した後、質入れをしたカネでギャンブルにつぎ込んでいたこととみほこのダンナがバスジャック事件を起こして逮捕されたあと機動隊員に銃殺されたこと…そして、みほこが子供を連れて行方不明になったことなどで、しほこの両親は生きて行く希望を失ったと言うて悲しんでいた。

しほこの母親は、父親に『しほこの結婚は絶望になったからあきらめてよ!!』と怒っていた。

しかし、しほこの父親は『しほこの花嫁衣装の姿が見たい…』と女々しい声で言うていた。

両親は、しほこの結婚の問題で大きくこじれてしまったので、夫婦仲は険悪になった。

10月20日頃のことであった。

しほこの母親が清掃のパートで働いている近見の県病院にて…

しほこの母親が水回りの清掃を終えてひといきついていた時に、マクドで清掃のパートをしていた女性と会った。

女性は、しほこの母親に心配そうな声で言うた。

「しほこさんのお母さまですか?」
「ええ…しほこの母ですが…あなたは…」
「私…しほこさんが働いていたマクドで清掃のパートをしていた女性です…ちょっと…心配なことがあったので聞いてみようかと思っていたのです…」
「心配なこと…」
「ええ…先週の火曜日に、あんたの息子が大声を張り上げて、しほこさんの結婚がどうのこうのと言って暴れていたみたいね!!キンリンの住民からあんたの息子を始末しろと言うクレームが来ているのよ!!」
「(力ない声で)すみませんでした。」
「すみませんでしたで済む問題じゃないでしょあんたは!!あんたね!!おとなりのナカムラさんカタのご主人が『ローニン生の息子の受験勉強を妨害された!!』と怒っていたわよ!!タジマさんカタのお孫さんの泣き声がより強烈になってしまったと言うクレームも来ているのよ!!あんたはなに考えとんかしらね!!」
「ですから…すみませんでしたとあやまっているでしょ!!」
「なんなのかしらあんたのそのあやまりかたは!!みほこのダンナがバスジャック事件を起こして、ケーサツに逮捕されたあと機動隊員に銃殺された!!みほこは子供と一緒にジョウハツした!!16の娘は18のカレと結婚をしたいと言ってねぼけたことを言うたあとまた家出した!!長男もヤーサンの事務所に入りびたりになって、バクチをうちよる!!…」
「だから何だと言いたいわけなのかしら!!」
「ンマー!!なんなのかしら一体もう!!あんたらがしほこさんばかりをよってたかってエコヒイキしていたから3人のお子さんがダメになってしまったのでしょ!!」
「エコヒイキ…」
「しほこさん…かわいそうに…」
「だから!!あなたはうちのしほこにケチをつける気なのですか!?」
「ええその通りよ!!」
「うちのしほこにいいがかりをつけるだけつけたのだから、許さないわよ!!」
「なさけないわねあんたはもう…」

女性は、ひと間隔を空けてからしほこの母親にこう言うた。

「あのね…この際だから言わせてもらうけれども…しほこさんは、始めから結婚をする資格なんぞなかったのよ!!その事を分かっているのにあんたのダンナが『花嫁衣装を着ている娘の姿がみたい…』とクソたわけたことを言っている…あんたのダンナは、はじめから花嫁の父親になる資格はないのよ!!」
「奥さま!!それじゃあ、アタシたち夫婦は花嫁の両親は失格だと言いたいのですか!?」
「そういうこと…それとね、やすあきのことでえげつない話を聞いたけん、話そわい。」

奥さまは、しほこの母親に恐ろしい話をした。

「やすあきのことで、ちょいと小耳にはさんだ話だけど…やすあきね…別の女性と結婚をしていたみたいよ。」
「ええ…どういうわけなのでしょうか!?」
「やすあきのことについて、市役所へ行って調べたのだけどね…しほこさんと結婚する前に別の女性と結婚生活を送っていたけれど、数日でリコンをしたそうよ…たけどね…離婚届けが出ていなかったわよ…」
「離婚届けが出ていなかった…」
「理由はどういうわけなのか知らないけれど…相手カタの家が離婚したくないと言うたけん、話し合いがこじれてしまったみたいよ…離婚届けを出さずにそのままにするなんて、やすあきの親はなに考えとんかしらね…沼隈さんも沼隈さんで、ええかげんやし…」
「…と言うことは…やすあきさんは、離婚届を出さずにしほこと再婚したと言うわけ…」
「この最近になってね、やすあきは女がらみのトラブルをぎょーさん抱えていたことが判明したわよ。」
「そんな…」
「やすあきの親御さんがクソバカだからやすあきもクソバカなのよ…なんなのかしらまったくもー…」

女性は、あつかましい声で言った後に大きくため息をついた。

その日の夜8時頃のことであった。

場所は、今治城の南側の通りにあるマージャン店にて…

やすあきの父親は、落ち着いて物事を考えることができなくなっていたのでジボウジキにおちいっていた。

この日、やすあきの母親が心臓発作による呼吸器不全におちいったので、救急車で病院に搬送された。

きみこ夫婦からも冷たくあしらわれてしまったのでジボウジキになっていた。

やすあきの父親は、通りがかりの男から声をかけられて、マージャン店に入った後、かけマージャンをさせられていた。

やすあきの父親は、負け続けてばかりいたことと負け代が払えないので、周囲の男たちからきつい声で怒鳴られていた。

「オラ!!オドレはふざけているのか!!負け代8万9800円が払えんというのはどういうわけや!!」
「払えないとは言ってないよぉ…まけてくれと言っているのだよ…」
「何や!!まけてくれだと!!」
「おい!!」
「何だよ!!」
「やめろ!!」
「何だよオドレは…オドレは割り込んで来るな!!あのなじいさんよ!!まけてくれと言うことはどういうわけなのだよ!!オドレはもしかして、持ち合わせがないと言いたいのか!?」
「持ち合わせがないとは言ってないよ…まけてくれと言っているのだよ…」
「ふざけるなオドレ!!」

この時に、やすあきの父親に凄んできた男が突然トカレフを出した。

「何や!!もういっぺん言ってみろ!!まけてくれだと!!まけてくれだと!!」
「助けてくれ…死にたくないよ…」
「やかましいオドレ!!死ねや!!」

(ズドーン!!ズドーン!!ズドーン!!)

やすあきの父親は、男が持っていたトカレフで撃たれて殺されてしまった。

同じ日に、やすあきの母親が搬送先の病院で呼吸器不全のために亡くなった。

しほこが送りつけたスズメバチの大群は、やすあきの親族へも向けられていたので、やすあきの親族たちはこの後よくないことばかりが続いて行くのであった。

しかし、しほこの怒りはまだおさまっていなかったので、この後も恐ろしい悲劇が続いて行くのであった。
< 14 / 25 >

この作品をシェア

pagetop