【女の事件】女王蜂~魔女になってしまった花嫁さん
第4話
(ジャラジャラジャラ…ジャラジャラジャラ…)

時は流れて、8月26日の夜8時頃のことであった。

場所は、今治城の南側の通りにあるマージャン店にて…

ひろあきは、庭瀬さんとひとりぐらしをしている男性ふたりと一緒にかけマージャンを楽しんでいた。

彼らは、大量にたばこを吸って、大量にアルコール類を摂取して、脂っこい丼もので晩ごはんを食べながら、かけマージャンを楽しんでいた。

そんな中で、庭瀬さんがひろあきに声をかけた。

「ひろあき…おい、ひろあき…」
「ああ…」
「お前の番だよ…」

庭瀬さんは、ひろあきに番が回って来たぞと教えた。

ひと間隔あけて、庭瀬さんは心配そうな声でひろあきにこう言うた。

「おい…」
「庭瀬さん…」
「ひろあき…お前、いつまでこんなことを続ける気なのだ?」

庭瀬さんは、まっすぐに家へ帰らなくなったひろあきのことを心配していた。

庭瀬さんは、ため息をひとつついてからひろあきにこう言うた。

「おい、お前どうしてまっすぐに家へ帰らなくなったのだ?」
「どうしてって…」
「家族が心配になっているのに、どうしてまっすぐ家に帰ろうとしないのだ?」
「庭瀬さん、どうして家へ帰れと言うのですか!?」
「どうしてって…お前には、家族がいるからまっすぐに帰れと言うたのだよ。」
「家族…それはだれのことを言うているのだよ!?」
「だれって…お前のおかーさんとおとーさんとお兄さんとお兄さんのお嫁さんのことをいよんじゃ…お前の家族は、お前をひとりぼっちにさせたくないと思って一生懸命になって努力をしているのだぞ…お前のお兄さんのお嫁さんは、家族のために栄養のバランスを考えて晩ごはんを作っているのだよ…今夜は、サラダに入れる豚肉をいつもより多く増やしてあげようかな…今夜は冷たい雨が降るから温かい煮込みうどんをつくってあげようかな…おとーさんとおかーさんとお兄さんは…お前と一緒に晩ごはんを食べることを楽しみにしているのだよ。」
「家族の話は出してくるな!!聞いてるだけでもイラつくのだよ!!」
「ひろあき…」
「何や!!オレに何が言いたいんぞ!!」
「お前、そないにはぶて(怒って)んでもえかろが。」
「兄嫁兄嫁って、繰り返して言うからイラつくのだよ!!」
「そんなにはぶてんでも(怒らなくても)ええやん。」
「ほやから!!兄嫁のことを出してくるから怒っとんや!!」
「ひろあき…お兄さんのお嫁さんは、家の人たちに気に入られるように一生懸命にがんばっているのだぞ。」
「ふざけんなよ!!兄(クソバカ)のせいで、オレはカノジョがでけんのや!!」

ひろあきは、ジャンパーの内ポケットからメビウス(たばこ)の箱と電子ライターを取り出して、たばこに火をつけながらこう言うた。

「兄嫁は…前の職場で付き合っていた人がいたけど…おやじとおふくろが兄嫁の恋人の家へ出向いて、ジカダンパンに行ったのだよ…『兄のために別れてくれぇ…』とあわれみを乞うたのだよ!!おやじとおふくろはどこのどこまでいらんことしいなんだか!!」
「ひろあき…お前の両親は、お兄さんが文句ひとつ言わずになにもかもガマンして働いていたからなんとかしてあげたいと思って…」
「兄(クソバカ)のことを出してくるなと言うたのに、何で出してくるんぞ!!沼隈のいらんことしいが別れさせたのだよ!!沼隈のバカは、自分の娘のことはどーでもよしになっているのだよ…人の心配するヒマあんのだったらてめえの娘の今後のことを心配せえ…つーの…」
「ああ、オレ知っているよ…沼隈のバカの娘のこと…」

この時、庭瀬さんのむかいに座っている25歳の男が手をあげてこう言うていた。

「なんだよ…教えろよ…」

この時、ひろあきのとなりに座っている21歳の男が言うたので、25歳の男は事情を説明した。

「沼隈の娘ね…共栄町のホストクラブの男とできてはるみたいやで。」
「ええ、ホンマかよ?」
「ああ、ホンマにホンマにホンマや。」
「…だよな…人のことをやかましく言うんだけは一丁前のクセに、てめえの娘の結婚問題にはムカンシンだからなぁ…」
「それとなぁ、沼隈の息子(バカセガレ)もフーゾク通いをしてはると言ううわさを聞いた。」
「オレ、沼隈の息子(バカセガレ)にうらみがあるんや…あのバカ、マッチャマの『ルーズソックス』(ファッションクラブ)の爆乳のきょうかちゃんが好きでいつも指名していたけど、あのバカセガレが横からドロボウしたんや!!」
「もしかして、きょうかちゃんを私物化していたって?」
「そうや!!今度あのバカセガレに会ったらしいヤツザキにしたるんや!!」
「おいお前ら、もうそれくらいにしとけ。」
「おっ、リーチだな…」

ひろあきがリーチだと言うたので、ふたりの男が次々とリーチと言うていた。

この時、25歳の男が『そら…キュウレンポウトウ!!』と言うたので、庭瀬さんのきげんが悪くなっていた。

「分かったよ…ほら…」

庭瀬さんは、負けた分の一万点棒5本をキュウレンポウトウを出した男に差し出した。

(ブーン!!ブーン!!ブーン!!)

この時、しほこの傷ついた乳房(むね)の奥から飛んできたうらみのスズメバチが飛んできた。

うらみのスズメバチは、ひろあきとふたりの男をチクリと刺した。

(ジャラジャラジャラ…ジャラジャラジャラ…)

しかし、庭瀬さんとひろあきとふたりの男はそんなことはおかまいなしに、かけマージャンを深夜0時頃まで続けていた。

しほこの傷ついた乳房から飛び出したスズメバチの毒は、恐ろしい暗示を持っていた。

このあと、彼らは恐ろしい悲劇に巻き込まれてしまうのであった。

恐ろしい悲劇は、ドンドビ交差点の付近にあるわたみん家(居酒屋)で発生した。

時は、ラストオーダーの30分前のことであった。

ひろあきとふたりの男が座っているとなりの席に20代のホストと女性客のカップルが座っていた。

この時、ホストの男が25歳の男がのんでいるアサヒスーパードライのビンに手出しをしたあと、のもうとしていたことが原因でトラブルになってしまった。

おり悪く、ホストと一緒にいた女性客が沼隈さんの長女さん(35歳)であった。

この時、ひろあきはビール瓶でホストの目を力をこめて殴った後、刃渡りのするどいナイフでズタズタに刺して殺してしまった。

このあと3人は、沼隈さんの長女さんをらちして、付近に止めていた銀色のステップワゴンを盗んで、その場から逃走した。

3人は、逃げている時に車中で沼隈さんの長女さんを刃渡りのするどいナイフでズタズタ刺して殺してしまった。

その後、3人は遺体を捨てるために大島へ向かった。

しまなみ海道の今治インターへ向かおうとしていた時であった。

片山のマクドの付近の交差点でケーサツが検問をしていた。

3人は、こうなったら強行突破をしようと言うたあと、検問所に立っている警察官ふたりをはねて、停まっている白バイ2台にぶつけたあと、猛スピードで現場から走り去った。

(キキキキキ!!ドスーン!!ドスーン!!グオーン!!グオーン!!)

車は、検問所を突破した後に今治北インターへ向かって走り出した。

「おい、検問所を突破したぞ!!」
「追え!!追え!!」

この後、愛媛県警のクラウンマジェスタの白パトカー11台と黒のマークXの覆面パトカー1台がけたたましいサイレンを鳴らして逃げた車の追跡を始めた。

3人が乗っているステップワゴンは、今治北インターへ向かう道路を猛スピードで走っていた。

車は、国道317号線の南光坊の交差点を左折した後、今治北インターへ向かって走って行った。

しまなみ海道の今治北インターについた盗難車は、料金所のETCレーンに設置されているバーを壊したあと、来島海峡大橋を越えて大島へ逃げた。

(グオーン!!バキバキ!!グオーン!!グオーン!!)

3人が乗っている盗難車は、来島海峡大橋を越えて大島南インターで降りた後、下田水(しただみ)港へ向かって走っていた。

盗難車が下田水四つ角のバス停付近にいた時、きわめて危険な状態におちいっていた。

そして悲劇は、そこで発生してした。

(ズダダダダダダダダダダ!!ズダダダダダダダダダダ!!ズダダダダダダダダダダ!!)

この時、四つ角のバス停の付近で待機していた愛媛県警の機動隊の警察官50人が持っていたマシンガンで3人が乗っている盗難車をしつように撃っていた。

(キキキキキ!!キキキキキ!!キキキキキ!!グオーン!!グオーン!!ドカーン!!)

3人が乗っているステップワゴンは、マシンガンによる攻撃を受けた後、停車していた白バイ2台に追突して停まった。

ひろあきとふたりの男が乗っている盗難車は、愛媛県警の機動隊の警察官50人に揮発油をかけられて、火をつけられて焼き殺されてしまった。

娘さんが盗難車の中で殺された知らせをケーサツから聞いた沼隈さんは、どうしようどうしようと言うておたついていたけど、自分が娘さんのことにムカンシンになっていたことに気がついたので、ひどく後悔していたようだ。
< 4 / 25 >

この作品をシェア

pagetop