逆転結婚~ブサイクだって結婚したい~

「ごめんね、変なの見せて」

「い、いいえ…」


「父が助けてくれて、一命を取り留めて。そのままずっと、アメリカにいたの。でも、お腹に子供が居ることが解って。どうしようか迷ったのだけど、産むことを決めたの。でも産まれたら、双子でね。大変だけど、頑張って育てようって思ってたけど。1人は産まれて間もなく誘拐されて…。でも、偶然にも誘拐した人が、優輝さんにつきまとっていた人で。ずっと10年、優輝さんが自分の子供として育ててくれていたの。私はてっきり、優輝さんはその着きまとっている女性と結婚したと思い込んだけど。実際は結婚なんかしていなくて、何も関係もなかったの。それを聞いて、本当に嬉しかった。10年もずっと想っていてくれた事も嬉しかったけど、子供を守ってくれていた事が一番嬉しくてね。離れていても、子供を通して繋がっていたんだって知ったら、感動したわ」


 10年。
 そんな長い月日、離れていて。
 それでも結婚出来たって言うの? 


 樹利亜は驚き茫然となった。


「私はずっと、残された忍と10年頑張って来たから。忍の気持ちは、良く判るの。あの子は、心が動かないとダメな子。あんなにイケメンだから、いつも女性がほっとかないのに。ずっと特定の人を作らないで、お見合い話しがきても断っていたの。そんな忍が、貴女を連れてきた時。初めは驚いたけど、納得したわ。忍はきっと、貴女の本当の顔を見ていたのね」


 樹利亜はふと思い出した。

 あの夜、忍は「安心して、本当の樹利亜しか見えていないから」と言っていた。


 どうして? そんなことってあるの? 

 樹利亜は驚いたが、胸がいっぱいになった…。


「樹利亜ちゃん。私、ずっと思っていたの。貴女が忍と一緒に来た時から、何か違うって。ずっと顔の事を気にして、一緒にご飯も食べようとしていなかった事も気づいていたから。樹利亜ちゃんが、そんなに顔をの事を気にして辛い思いをしているなら。整形して、綺麗になるのもありなんじゃないか? って思っていたの」

「あ…あの…」

< 48 / 60 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop