【完】ねぇ、もっと俺に甘えてよ?


「お母さんの口から言えるのは、葵くんはとても信頼出来るってことだけよ」


「信頼、してるよ……」


「なにがあったか、知りたいのもわかるわ。護衛としていきなり同居することになった相手のことだものね。でもね、空。これは葵くんや葵くんの家族のためにもお母さんからは言えないの」



葵くんの家族のため……?


お母さんはボストンバックをその場に置くと、なにも言えずにいる私のことをギュッと抱きしめた。



「ずっと、昔からお父さんが守ってきたことだから……」



ごめんね……と、お母さんが謝る。


お母さんの温もりに包まれると、それだけで上手く言えないけれど、お母さんの愛を感じる。


私を大切に思ってくれている。


あの雨の日からずっとお父さんに寄り添うと誓ったお母さんの愛が伝わる。



「きっと、葵くんが話してくれるから」



私はお母さんの胸の中で、何度も頷いた。

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