【完】ねぇ、もっと俺に甘えてよ?


* * *


学校につくと今日も海ちゃんは机に突っ伏していた。



「はぁ……。あの美しい顔面をもう見ることが出来ないなんて。なんのために学校に来るんだって話だよっ!」



それはもちろん勉強するためでしょうが、海ちゃん……。



八雲先生が学校から姿を消したのは、体育祭の翌日だった。



────“あ と 3 日 ”


きっと、あの手紙を私へ送った時から、八雲先生はそう決めていたのだと思う。



「もうここには居られない。きっとそう思ったんだろ」



昼休み。


私と葵くんは中庭の芝生に腰をおろした。


体育倉庫に残されたあの言葉。


それを消すために手に持っていたデッキブラシを横に置くと、ポツリと葵くんが言う。

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